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【感想】ナイトクローラー 狂人が天職に就いたとき

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2017/03.08 鑑賞

この主人公と出会いたくない。死神だもの。

あらすじ

ギリギリで生活するコソドロが主人公ブルーム。職を探すも見つからず途方に暮れていた。ある日交通事故現場に遭遇し、事故映像を撮影し番組からお金を取る「報道パパラッチ」の存在を知る。主人公の行動は早い。盗難自転車を売ってカメラと無線傍受器を手に入れ、フリーのパパラッチとして活動を始めるのであった…

感想

狂人に報道パパラッチは天職

高校時代写真に打ち込んでいたときに知り、未だに覚えている言葉がある。木村伊兵衛か誰かが、写真には何が必要かを端的答えていた。「普通の人より一歩自然に踏み出してしまう。写真で生きて行けるのはそういう人間だけだ」そんなことを思い出した。

主人公ブルームは初登場時から狂人だ。口も勤勉さも行動力も突出していてスペックは優れているが、感情が全く読み取れず何をしでかすか予想できない。その狂人っぷりのせいでまともな人間関係を築けず、泥棒に甘んじてるのは容易に想像できる。

そんなハンパなくぶっ壊れた人間がたどり着いてしまったのが報道パパラッチだ。はじめてその仕事っぷりを見たときの目のキラキラ加減が狂っている。カメラが事故現場と負傷者を舐めまわすように撮影している様子を、おもちゃ屋前の子供のように舐めまわすように見ているブルーム。あぁ出会ってしまったな感があって良いシーン。

報道パパラッチに必要な素養は二つ。現場に一秒でも早くたどり着く勤勉さと、現場でグイグイ前に行ける感受性の無さ。この二つが評価され名声と金になる。どう考えてもブルームに向いている。実際に天職すぎてどんどん地位を上げていく様子ほんとうに面白い。

狂人なのは主人公と視聴者

ブルーム自身はショッキングな現場とか死体を見たいわけじゃない。狂人って言ってもシリアルキラー的な欲求を持っていない。欲しがってるのはテレビ局であり、その先の視聴者である。

発注者のテレビ局内には倫理的な葛藤も存在する。最高責任者は視聴率のためなら何でもするが、取り巻きは本当に良いのかと問いただす。責任者自身も倫理的に問題があることも分かっている。ここらへん常人だ。

そんな些細な葛藤すらブルームには存在しない。ブルームは徹底的に純粋に仕事として、発注のために頑張る。そのためなら何でもするとっても仕事熱心な人だ。ただそこに他の倫理は全く存在しないあたり常人じゃない。完璧に狂人だ。

そんなブルームの仕事ぶりがだんだんエスカレートしていき、社会のルールすら違反していくのは必然とも言える。ブルームも全く悪いことだとは思っていない。相棒が唯一同じ目線にいる常識人のため、主人公の行動に異を唱える。そんな相棒の反応と比較して主人公の狂人加減がよく分かる。

でも結局そんな仕事ぶりを最終的に必要としているのは視聴者だ。ブルームと視聴者が倫理観を持っていない。ブルームはただの仕事熱心で、視聴者はただインパクトのある映像が観たいだけ。この2者が狂人なのではないか。

その証拠に、ブルームは最終的に思い描いていたサクセスストーリーを歩む。倫理的に問題があろうとも、要求通りの仕事をしていることが評価されるのだ。そんな社会がぶっ壊れているとよく分かる良い終わり方だった。

まとめ

予想以上にギレンホールが初めからぶっ壊れていて、次第に狂人加減を深めていくわけではなかった。主人公はただ持ち味を発揮しただけに思えて、そこが面白かった。

採点 68点