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【ちょいネタバレ感想】聖なる鹿殺し 居心地の悪すぎる思考実験

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2018/03/21 新宿シネマカリテ鑑賞

あらすじ

心臓外科医で有能な主人公。医者で美人で理解ある妻、一姫二太郎で優秀でちょい反抗期な二人の子供と理想的な家族の大黒柱でもある。そんな完璧な人生を歩んでいる。

しかし一つ異物が存在する。主人公が昔手術をしたが既に手遅れで死なせてしまった患者の息子。この少年に対し負い目を感じ近づいていく主人公。

距離を縮めていき少年を家族に会わせることに。楽しく交流を図るのだが、その後子供二人が謎の奇病に。果たして何の関係があるのか。

 

感想

ハンパない居心地悪さ

今作は人間しか出てこない。はずなのに主人公が接する少年は人外にしか見えない。人なんだよ、でも人の皮を被った怪物なのか妖怪なのか。はっきり何かおかしい行動をするわけではない。でも明らかな違和感。この圧倒的存在感の時点で勝ったようなもの。

そんな人外と距離を縮めていく主人公。序盤から意味がわからない。なぜこんなやつに接するのか。

そして主人公の最も大切な家族と人外を触れさせる。別にそこじゃ何も起こらない。でもそのうちに人外と無関係なところで、子供二人にある現象が起こる。

理想的で主人公が最も守りたい家族と、触れる必要が無さそうなのに接していた人外が交差した瞬間、ためにためた違和感が爆発する。

 

ここまでの前半が傑作です。

 

傑作を支えるのは映画全体の舞台演出の素晴らしさ。

日常を切り取っているのに日常に見せてくれない。普段見ているアイレベルでシーンを普通に写してくれることは少なく遠景ぐらい。二人が近づくと片方だけを写して終始不安定感を醸し出してくる。普通に歩いているシーンも上から写したり、普通にそこにいる第三者と感じさせない。下から撮ったり、アップ多用したりして全く楽しそうじゃない。

家族映画なのにホームビデオの対極にある映画。この突き詰め方が生み出す徹底した居心地の悪さ。これは味わう価値がある。当たりです。

そんな舞台だからこそ、明らかなる人を明らかなる人外として受け止めちゃう。凄い映画体験ですよ。

 

後半は思考実験映画

人外と家族が交わった結果から始まる後半は、まさしく思考実験映画。そこからはまるでノンフィクションに感じる。

後半だけ切り取ったら飲み込めないだろう。なんだこの世界とか結局何よって。何だけど前半の優れた舞台演出のせいで人外と現象を受け入れた観客は、全く違って見えてくる。

その舞台で実際の家族はどう行動するのか。狂いそうになりながも理性的に行動しようとする大人と、無垢で利口な子供達が運命を受け入れる姿を、前半で植え付けられた「観察者」という立場としてだだひたすらに観察する

決着の付け方もそこだけ切り取ったらハッキリ言って滑稽。あれだけ見たらコントかなって笑えてくるレベル

でもノンフィクションとしてここまで観ていると、あの行動を選択するのは頷けてしまう。あぁそうするよなぁって。

常に浴びせられる違和感と、この舞台でもがく家族に接した僕らはいつのまにか同じ目線に立ってあの行動に納得する。

それって映画体験として正しいし上質過ぎるでしょ。

まとめ

前半傑作 後半思考実験の実写化
なのでこれは観る価値おーいにあります。

映画観終わって「これは言葉にすると難しいなぁ」って思っていたので、僕の読解力再構成力ではこれが限界です。

ただ一つ言うなら、研ぎ澄まされ方向性の徹底した演出に飲み込まれ、この舞台で家族は僕はどうするのか。そんなことで頭が10割になる。この映画は体験するべき。

採点 81点